「ウルトラセブン 4K」レヴュー

BS4K放送で、ウルトラセブン4Kリマスターが放送されてます。

オリジナルの放送は、1965年でした。私がちょうど5歳のときです。当時としてはハイクオリティな作品は5歳の少年を虜にしてしまいました。

それは、当時でも、現代でも、非常に魅力的な作品だからなのです。

それでは、4Kで鮮やかに化粧直ししてよみがえったこの作品の魅力について語っていきましょう。

変身シーン

現代のテクノロジーで美しくよみがえったこの作品を鑑賞すると、当時では、全く気づかなかった数々のことが見えてきました。

4Kなので、より鮮明

「ウルトラセブン4K」は40年以上の前のネガをスキャンし4K映像にブラッシュアップ(磨きあげて)しています。そして、フィルム傷もほとんど消してあります。

特に、ウルトラ警備隊が使うウルトラホーク〇号などの金属感がよりリアルさを増しています。さらに、昭和40年代前半の当時の町並みをより明確に見ることができます。

そして、このころは、こんな家に住んでいたのかー。こんな形の車が走っていたのかー。など、懐かしさを味わうことができます。

特撮の技術の高さと、その限界を見ることもできます。CGがない時代なので、街並みや山や海などのミニチアはの人の手によるものです。いかに精巧な模型なのかがよくわかります。山の木など一本一本が手づくりで、実にリアルに作りこまれているということがよくわかります。

また、当時のファションもよくわかります。女性の着ている服がカラフルです。、そのデザインは、今では絶対に着れない(ちょっとはずかしい)だろうなと思うほど斬新です。(特に若い女性の服装)その服の細部まで確認できるので、当時のファッションの流れを感じ取ることができます。

CGがないころの特撮映像は懐かしいの一言です。私は、特に青空の青が美しいと感じました。ビルや家屋も実に精巧にできてます。

ミニチアの造形の表現のかわいらしさと、ミニチアで表す情景の限界などを見とることができます。

特撮技術を使った飛行物体を飛ばすシーンでは、はっきりと吊るしているピアノ線のようなものが見えます。今のCGの技術で簡単に消すことができるはずです。

しかし、「ウルトラセブン4K」では、この線が見えるのです。線を消し残しているのは、この作品を大切に思うファンに配慮し、当時の特撮技術と作品のオリジナリティを尊重しているからでしょう。これは、往年のファンにはうれしいことです。

ウルトラセブンのボディデザインのシルバーと赤のコントラストの美しさにも目を奪われます。

それに、セブンと敵対する宇宙人の作りのチープさもよくわかります。子どものころ、こんな宇宙人によく満足したものだと笑ってしまいました。

効果音とBGMがすばらしい

音もよくなっています。私が所有するパイオニアのAVアンプには、音声信号の周波数が表示されます。この作品の音声は、192Hzでした。CDは、44.1Hzなので、かなりいい音質です。ハイレゾ相当の音声といえるでしょう。

オリジナル音声は、ステレオではなく、モノラル音声のはずですが、音声をデジタル処理で磨き上げているので、セリフも効果音も明瞭です。

特にウルトラホークが飛行するジェット音の「キーン」という音はかっこよさを引き立てます。

また、ウルトラ警備隊基地から、発信する際に流れる「ワンツースリフォ・ワン・ツー ウルトラーセブーン♬♫♪」と流れるBGMは、不測の事態に対するウルトラ警備隊員たちの活躍に勇ましさを引き立てます。

当時よくこんな洗練された曲を考えついたものだと感心します

脚本とナレーションが秀悦

この作品は、ストーリーがよく練られていると思います。一貫しているのは「地球を狙う侵略者とその生物兵器またはロボット兵器」です。まず、宇宙からの侵略者や訪問者によって、世の中に異変が起こります。

そして、ウルトラ警備隊が調査します。すると、宇宙人の仕業ということがわかります。その後は、おきまりの宇宙人と、ウルトラ警備隊+ウルトラセブンの戦いの始まりです。

異星人をやっつけることで問題が解決し、最後に視聴者の心を刺激するナレーションが入ります。「もし、あながた〇〇を見たら、ウルトラ警備隊に連絡してくださいね。」とか、「あなたの隣に〇〇な人はいませんか?」など、問題提起して終わることがあります。

エンディングは、それを聞いた視聴者(少年)は自分のことにように感じ、ちょっとだけ「ビクッ、」と、するのです。そのナレーションの言い回しで、TVの空想物語と、現実世界の区別がつかなくなり、怖いながらも次回作品を期待してしまうのです。

アイ・スラッガー

メカが男心をくすぐる

ウルトラセブンの人気は、なんといっても登場するメカの種類の多さとその造形です。やはり1番人気は、ウルトラホーク1号でしょう。1号は一番多く登場するウルトラ警備隊の主力戦闘機です。一番の魅力は、α号、β号、γ号と3つに分かれて戦ったりり、ドッキングしたりするのです。

マグマライザー

戦況によって、この機が変化します。それに当時の少年たちは、心を奪われ、ウルトラホークのおもちゃやプラモデルを購入し、熱中したものでした。

ウルトラホークは発進するまでは、かなりの時間を使います。それは、発新までのメカニカルな部分を見せまるためだと思います。ゲートをくぐり、ゆっくりと発進準備をしていいく様子がとてもかっこいいと当時の少年たちは思ったものです。

ウルトラホーク1号発進

緊急事態の緊急発進なのですから、通報があったら瞬時に消防自動車の出動のように出ていくべきです。ウルトラセブンの製作スタッフは、そんな緊急時の俊敏さよりも、特撮のメカニカルの部分を強調し、時間をゆっくりかけて基地内のメカニカルなところを見せました。そのメカのかっこよさが、少年たちに受けたのです。

他には、宇宙船用のロケットのウルトラホーク2号や機内にマグマライザーを格納して空輸できるウルトラホーク3号などがあります。そして、地中を移動できるマグマライザーや海中を進攻できるハイドランジャーなど、魅力的な乗り物がたくさん出てきます。

そして、筆者の私が一番好きなのは、隊員が日常的に乗っていたポインターという車です。武骨で大きくて、決して美しいとは言えないスタイルでしたが、その個性的なデザインの車は心を鷲掴みにしました。

ポインターは、1957年式クライスラー「インペリアル」を改造したものです。10年落ちの中古車両を改造して、近未来の車に仕上げたようです。中古なので、いろいろなところが故障し、撮影するにはたいへんだったようです。

その甲斐あって、TV画面の中に映るポインターは、ものすごい装備を積んだ近未来の装甲車のように見えていました。今でも、私と同世代の男性には熱狂的なファンがいるはずです。

アンヌ隊員が魅力的

ウルトラ警備隊の紅一点にアンヌ隊員がいます。彼女は、仲間と一緒に勇敢に戦います。けが人が出た時は、看護師に早変わりし、隊員の手当てをします。看護師というよりも、医師の役目を担っています。

そのアンヌ隊員ですが、当時絶大な人気があったようです。私は、当時5、6歳だったので、「ハスキー声のきれいなお姉さん」としか思いませんでした。その後、大人になって、アンヌ隊員やくのひし美ゆり子さんがすごい人気だったことを知りました。

セブン出演の後、ヌード写真も撮影していたようです。そのヌード写真が好評で、それをきっかけとして、東映の成人映画にもいくつか出演しています。

ネット上では、若かりし頃のひし美ゆり子さんの画像を見ること会できます。現在の写真もありますが、今でも美しい女性です。

アンヌ隊員

セブンのしもべ

セブンのしもべはカプセル怪獣と言います。いつもは、主人公のモロボシダンが持っているカプセルの中に入っています。そして、セブンが変身できないときや、忙しい時にカプセルから出て、強大化して敵と戦います。

カプセル怪獣は主に3体います。一番多く出て来るのは、「ウインダム」という名の怪獣です。この怪獣は一見ロボットのように見えます。

ウインダム

体全体が銀色で、顔はニワトリのような感じです。武器は、額からのレーザー光線です。

2体目は、「ミクラス」です、長い角と大きな目と、おおきな口が特徴です。得意技は、怪力です。その割にあまり強くないのが残念です。

3体目は、「アギラ」です。あまり出てこない、レアなカプセル怪獣です。一角のトリケラトプスのような造形です。この怪獣もあまり強くなく、戦いながら時間稼ぎをして、セブンを助けていることが多いです。

これら、3体はどれも弱いのですが、セブンを助けるためにがんばって戦います。なんとけなげなしもべ達ではないでしょうか。

セブンの技の多様さ

セブンはたくさんの技を使います。その中で、一番印象にあるには、「アイ・スラッガー」です、これは、頭にある金属質のトサカのようなものを投げ、敵の体を切り裂く技です。

これを投げたあとは、坊主頭のようになるので、セブンの見かけが悪くなるのが欠点です。そして、「ウルトラ・ビーム」もよく使います。これは、セブンの額から光線を放つ技です。比較的よく使います。

「ワイドショット」は、腕をL字型にして放つ強力な光線です。セブンの必殺技とも言えるでしょう。その他にも、念力のような技も使います。さらに、セブンの最大の特徴は体の大きさを変化させることができるというとこです。

ワイドショット

巨大化して戦うことがあると思えば、人間と同じくらいの大きさになることもあります。さらに、ミクロの大きさになって、人の体の中に入って細菌怪獣と戦ったこともあります。

とにかくセブンは持ち技が多いので、「今回はどんな技を繰り出すのか?」と期待する楽しみがありますね。

ポインター

まとめ

このように「ウルトラセブン4K」は、たくさんのことを楽しむことができます。CG映像にあきた人は、是非、この作品を観直してみたらどうでしょうか。4Kの鮮明な画像のおかけで、きっと新たな発見があるはずです。

当時の50年以上も前の作品なので、ツッコミどころが満載ではありますが、当時のスタッフ(円谷プロ)が、会社の威信をかけて作製したという歴史的な作品です。小さなことは気にせず、おおいに楽しんでください。